お膳だての失敗、それとも成功

FOXテレビの「アメリカンアイドル」は、何人もの有名新人歌手を生み出す人気番組に成長しましたが、対抗してNBCテレビも「Voice」というオーディション番組を行っています。 その勢いかどうかわかりませんが、NBCテレビは、これからのファストカジュアルレストランを発掘しようというオーディション番組「アメリカン・ネクスト・レストラン」を今年3月から7回に渡って放送しました。 予選を勝ち抜いて来たレストラン起業家10名を番組で競わせて、優勝者には、LA,NY,ミネアポリスの3か所に店舗を持たせチェーン起業のチャンスを与えるという企画です。 日本でかつてあったTV番組「マネーの虎」のようなところもあり、審査員は優勝者のコンセプトに投資をするのです。 
結果は、ヘルシーソウルフードを提供するデトロイトのケータリングビジネスを行うジェイ・ウッズ氏の「ソウル・ダディ」が優勝し、LAはハリウッド・ハイランドセンター内、ミルウォーキーはモールオブアメリカ内、NYはサウスストリートシーポート内という一流立地に5月2日出店したという凄い企画です。 
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実は、有名なシェフや企業CEOが投資したにもかかわらず、オーナーのウッズ氏はその3店舗を2か月も経たない6月の内に閉店してしまったのです。 それで、今、大きな話題になっています。 考えれば、アメリカの西部、中部、東部の立地で同時期に店舗を出店し経営することは普通のレストランビジネスではあり得ません。 しかもオーナーは、ホームタウンに出店をしているわけでもないですから、自分が落ち着かない中で店舗を経営しなければならないですから、よほどのビジネスマンでないとこの企画にフィットする創業者と言えないでしょう。
7月6日、審査員で投資家の一人であるチポトレのCEOスティーブ・エルス氏が、閉店したソールダディーを復活させるためにチポトレとエルス氏が共同で230万ドルという金額を追加投資するというニュースが流れました。
実は、運営は初めからチポトレのオペレーションスタッフが参加しているということですから、オペレーションの復帰は簡単に行われるだろうと思います。 しかし、ブランドイメージを回復させるのにはかなり時間がかかるかもしれません。 チポトレは、これからアジアンコンセプトのファストカジュアル「ショップハウス、サウスイーストアジアンキッチン」を立ち上げる予定ですから、これからチポトレが、このコンセプトをどのように育てるか見ものです。 スティーブ・エルス氏はどのように考えているのでしょうね。