アメリカチェーンの日本進出

SHAKE SHACK (シェイクシャック)
先日、サザビーリーグ社がニューヨークのバーガーコンセプトShake Shack(シェイクシャック)との提携を発表しました。 Shake Shackは、2004年にマディソンスクエア―パークでハンバーガーとホットドックを提供するキオスクとしてスタートし、11年後の今年1月にIPOを果たした成長企業です。 母体は、ニューヨークで人気のフルサービスレストランのユニオンスクエアカフェ、グラマシータバーン、ノースエンドグリルなどを運営する企業ユニオンスクエア―ホスピタリティグループ(USHG)社です。 彼らがShake Shackをスタートした時、USHG社はフルサービスレストラン企業として絶好調の時で、多くの人から何故という疑問を投げかけられたといいます。 その時に彼らは、USHG社が創り上げる以上、本格派のリミテッドサービスレストランを世に出すのだというビジョンを語ってスタートしています。 Shake shackは、今のミレニアム世代のニーズにマッチしたコンセプトとして現在海外店舗を含めて64店舗を展開しています。  

シェイクシャック  by LucasRicharz (flickr)
シェイクシャック  by LucasRicharz (flickr)

Carl’s Jr. (カールスJr.)
昨年ミツウロコグループホールディング社がCKEレストランツ社と提携したカールスJr.の再上陸が今年中に実現しそうです。 カールスJr.は、本国アメリカのバーガー業界では第5位のチェーンです。 マクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズというトップ3のように全米に店舗があるわけではなく西海岸から南西部がメインです。 親会社CKEレストランツが90年代後半に東南部のバーガーチェーン、ハーディーズを買収し、姉妹チェーンとして東部エリアをカバーしていますのでブランド力の広がりはTOP3に比べてどうしても限られています。 ボリューミーな商品やセクシーなTVコマーシャルでミレニアム層には人気がありますが周辺客層を取り切れず、企業は何度か買収されて、現在は数多くのレストランコンセプトを保有するロアークキャピタルグループ社の傘下にあります。
日本のファーストフード市場では、マクドナルドが突出していてその他のアメリカのバーガーチェーンをブランド毎に区別するまでには至っていません。 参入したブランドは飽和状態にあるハンバーガー市場に埋もれてしまう可能性が高いと思います。 それを見越して、カールスJr.がどのように日本のマーケットでビジネスをしていくのか。 メニューや出店戦略に興味があるところです。
カールスJr.
カールスJr.

Original Tommy’s Hamburger(オリジナルトミーズハンバーガー)
ロサンゼルスのバーガーの老舗ともいうべきトミーズオリジナルハンバーガーも出店が計画されているようです。 本店の創業は1946年です。 ロサンゼルスで本店を訪れた人は、なんとなくその歴史に哀愁を感じる店舗です。 チリソースがたっぷりかかったハンバーガーが主力商品です。 本店と同様の店舗展開ができないため、ロゴに本店のイメージを取り入れて同様の商品を提供するファストフードレストランを33店舗展開しています。 商品は、日本のバーガーイーターも興味を引かれるものだと思いますので特徴をしっかりと示して地道にビジネスをしてもらいたいと思います。
オリジナルトミーズハンバーガー
オリジナルトミーズハンバーガー

Taco Bell (タコベル)
2月26日、牛角などを展開するプライム・リンク社親会社のアスラポートダイニング社がファストフードのメキシカンコンセプト、Taco Bell(タコベル)との提携を発表しました。 80年代末に名古屋に出店をしたタコベルも再上陸ということになります。 本国のタコベルは、一昨年、スナック企業フリトレー社のドリトスをタコシェルに使い息を吹き返しました。 タコベルは、昨年からロングビーチでファストカジュアルコンセプトのUS Taco Co.という店舗を実験しています。 そちらの方がタコベルよりも日本の市場に受けるような気がします。 出店に関してはまだ具体的な方針は示されていません。
タコベルのファストカジュアルコンセプト
タコベルのファストカジュアルコンセプト

Teavana (ティーバナ)
サザビーリーグからスターバックスコーヒーJAPANを買収したスターバックスコーヒーは、2012年に買収をしたお茶の専門店Teavana(ティーバナ)の日本展開を発表しています。 ティーバナは100種類以上のルーズリーフティーを揃え、お茶にまつわる食器や道具など販売するコンセプトです。 しかし、スターバックスが買収した後、ニューヨークに数々のお茶やスィーツなどを提供する新コンセプト、Teavana Tea barを出店しています。 お茶好きな日本人にはティーバナの新たなコンセプトはフィットすると思います。 また、ティーバナにはお茶に関する専門家(ティーオロジスト)の日本人女性がいます。 彼女がディレクターとしてアメリカでも活躍しているようですから、うまく日本に新しいお茶の飲み方を提案できれば日本でのティーバナの展開はアメリカより面白いと思います。
ティーバナ
ティーバナ
  
今は、スィーツ、ベバレッジに比べて多店化展開を軸とするファストフードレストランのコンセプトを日本で展開させるのはかなり難しくなっています。 まだまだ、アメリカでは面白いコンセプトが生まれています。 アメリカ大手企業の海外出店戦略に惑わされることなく、日本のマーケットニーズをできるだけ読み取って店舗展開ができるコンセプトを紹介していただきたいと思います。