マクドナルドのこれから

3月1日からマクドナルド社(本社:オークブルック、イリノイ州)では、前CEOダン・トンプソン氏に代わってスティーブ・イースターブルック氏がCEOに就任しています。 CEOが代わっても経営方針には大きな変化は見られませんが、トンプソン氏時代に表明されていたことが実行に移されつつあります。 それが業績を上げる効果に繋がるのか? 消費者の嗜好の変化とファストフードを取り巻く環境の変化は、2003年から2004年にかけて劇的な回復を成し遂げたキャンタルーポ氏のCEO時代とは全く違っているだけに難しさがあります。 
今、マクドナルドが行っていることは、
 ●メニューアイテム数を減らす
 ●ドライブスルーボードの表示を簡素化してスピード化を図る
 ●朝食アイテムを営業時間帯内での常時販売
 ●地域限定のローカルメニューを認める(顧客に地域性と利便性を強調)
 ●人気のバリューメニューを止める
 ●期間限定の大型バーガー「サードバウンドサーロインバーガー」を復活販売
 ●抗生物質無使用のチキンで作るチキンサンドイッチを販売
 ●顧客が自分好みのバーガーを作る「クリエイトユアテイスト(Create Your Taste)」を2000店舗拡大計画
など、商品クオリティとブランドイメージを高めています。 そして、今年、世界的規模で不採算店の700店舗を閉店する予定で新店は300店舗ほどの出店に留まるだろう言われています。 恐らくマクドナルド史上初めて閉店数が出店数を上回ることになるだろうと思います。 確かにイースターブルック氏にCEOが代わったことによって、昨年秋ごろから語られていた経営方針が一挙に動き出しました。 イースターブルック氏は、マクドナルドを「より現代的で進歩的なハンバーガー企業として築き上げる」と語っていますが、うまくいくのでしょうか?
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ファーストフードを取り巻く環境を考えてみると、今人気のファストカジュアルは顧客対象を可処分所得の高い層に絞り込んでいるため、客単価が15ドルから25ドルほどでもブランドへの顧客満足度は高く効果的にリピート客を増やしています。 ファストフードとしてレストラン業界トップのマクドナルドが、「クリエイトユアテイスト(Create Your Taste)」のようにファストカジュアルを真似てみてもその成果には限界があり同等以上のものにはなり得ないわけです。 コンビニエンスストアにもSheetzのように食事をTo-Orderで受けて提供をする処も出てきていますし、セブンイレブンはロサンゼルス空港国際線内にも出店をし顧客のニーズを捉えようとしています。 益々マーケットがタイトになる中で、マクドナルドは店舗数の利点を生かして安全で安定した商品をスピーディにリーズナブルな価格で提供することに集中すべきだと考えます。 そして、それをいかに徹底できるかにつきるんじゃないでしょうか。 
今の方針を貫くと顧客からバリューミールの要求が当然のように高まり、「クリエイトユアテイスト(Create Your Taste)」はオペレーションの混乱を招き、アメリカでは店舗数の9割を占めるフランチャイジーから不満の声が上がることになるのではないでしょうか。 ちなみに、マクドナルドはダブルチーズバーガーとフレンチフライ(s)をセットで2㌦50㌣とバリューミール並みの商品を販売しています。 それと月間で報告されていた既存店売上(前年対比)を今月分から発表を取りやめています。 この辺りにイースターブルック氏のカラーが見えるのかもしれません。 
ファストカジュアルコンセプトはファストフードと比べより良いQSCを提供し消費者に受け入れられている以上、マクドナルドが生きる道はファストカジュアルには無いバリューとスピードとコンビニエンスさで勝負するしかないはずです。 今打ち出している策の多くがファストカジュアルと対抗しようとするものですから大きな効果は期待できないでしょう。 後に誰かが方針の振り子を逆に降るか、90年代後半にファストカジュアルの原点となるボストンチキンの買収やチポトレへの資本参加をしたように次なるコンセプトを傘下に置きグループ化を行うということになるのではないでしょうか。 FoodRest.com