偉大な業界人 ノーマン・ブリンカー氏 (1)

ノーマン・ブリンカー氏と共に
ノーマン・ブリンカー氏と共に

アメリカの外食業界に大きな影響を与えた経営者、ノーマンブリンカー氏が、6月9日朝休養中のコロラドスプリングで肺炎を拗らせて亡くなられました。78歳でした。
私自身、彼に影響されたことが多いだけに残念でなりません。 私がレストランに興味を持ったのが、32年前、1977年に初めて訪れたステーキ&エール(S&A)でした。 ステーキ&エール(S&A)は、ブリンカー氏の創り上げたコンセプトです。 その当時、バジェットステーキレストラン(低価格路線のステーキレストラン)が大流行で、よく友人と行っていたのがシズラーやボナンザというステーキチェーンでした。  ある日、友人がいつもと違うステーキレストランに行こうと誘ってくれたのが、当時人気が出ていたステーキレストランチェーンのステーキ&エール(S&A)でした。 英国調の建物で店内が薄暗く、今までに経験したことのない高級感を感じたものです。
小型のまな板に乗せられテーブルに運ばれてきた黒パンには、でっかいステーキナイフが突き刺さっていて、こんなステーキナイフもあるんだ、こんなパンの提供方法もあるんだと驚き、その黒パンがおいしいので2人で2回ほどおかわりしたことを思い出します。 
★ このパンの提供方は、1989年に創業したアウトバックステーキがそのまま採用しています。 実は、アウトバックステーキの創業者達は、ブリンカー氏の下S&Aで働いた人達です。
パンのうまさも感動的でしたが、私自身、S&Aで初めて経験したのがサラダバーでした。 店内のサラダバーだけは照明が当たり、そのスポットは光り輝いていました。 サラダ用のアルミ皿がギンギンに冷えていたことに感心し、うれしくて思いっきりいろんな野菜を盛って食べ、パンとサラダでステーキが来る前にお腹いっぱいになった思い出のあるレストランです。
★ その後、サラダバーは業界内でポピュラーになり、集客するための大きな要素になりました。 今振り返れば、ノーマンブリンカー氏は、S&Aを1966年に創業しています。私が初めてS&Aで食事をした時は、創業後11年も経っていたのです。 その頃、氏は、既にベニガンズ・グリル&タヴァーンのコンセプトを創り、 当初からTGIフライデイズと共に若者の集うバーレストラン(シングルズバー)としての位置を確立させていたのです。
★ これらが、ベビーブーマーの支持を得てカジュアルレストランとして成長していくわけです。当時は、まだ大手食品会社がレストラン企業を所有することが多く、ブリンカー氏は、1976年、ドウボーイで有名なベーカリー中心の食品会社ピルズベリーにS&Aチェーンを売却し、企業に属しながらベニガンズのコンセプトを創業しています。 当時は、バーガーキングもピルズベリーの傘下にありました。
その後、独立してチリズ・バー&グリルを買収することになるのですが、それは、次回に書きます。 ノーマン・ブリンカー氏の偉大さは、携わったコンセプトの成功と人材育成力にありました。 まだまだ、業界に影響力のあった人だけに残念でなりません。 ご冥福をお祈りします。
foodrestcom@gmail.com