酒類の販売に頼るレストラン業界と規制の動き

アメリカでは4,5年前からカクテルブームが続いています。 それに加えてクラフトビールのブームも起こっており、この3年のクラフトビールは毎年13%伸びている(ビアマーケターズインサイツ調べ)と言われています。 レストランチェーンは、ますます酒類の販売に力を入れ、バーを拡張するする店舗も増えています。 カジュアルレストラン大手のダーデンレストランツ社(本社:オーランド、フロリダ州)は2011年からレッドロブスターとオリーブガーデンの両ブランドをツーインワン(複合店)出店し、両コンセプトの間にアトリウムと呼ぶバーを設けています。 アップルビーは、カクテルメニューを増やし、ワインとセットにした食事の提供なども行っています。 結果、アップルビーのアルコール類販売比率がIHOPの親会社ダインエクイティ社(本社:グレンデール、カリフォルニア州)に買収された2007年当時の12.5%に比べ14.5%に上がっています。 また、夏場にビアシェイクを販売するチェーンも増えてきています。  
酒類の販売は、ファストカジュアルレストランはもちろんのことファストフードでもバーガーキング(本社:マイアミ、フロリダ州)が2009年に展開を始めたプロトタイプ店舗(ワッパーバー)でビールーの販売を始めて以来、ホワイトキャッスル、ウェンディーズなど他のファストフードチェーンでもライトリカーを販売するチェーンも増えています。 
マーケティング調査会社のテクノミク社の2012年発表のBarTAB(Trends in Adult Beverage) レポートでは、2011年のレストランでの酒類販売は4.9%増加し937億ドル(約9兆円強)に達し、この傾向は数年続くだろうと予測しています。
その流れにブレーキを掛けようとする動きが、この5月、アメリカ国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board)から発表されました。 ハイウェイで起こる死亡事故(年間約3万人)の1/3以上が飲酒運転が原因の事故によるものとして、飲酒運転の規制基準となるアルコール血中濃度を現行の0.08%から0.05%へと強化すると発表したのです。 血中アルコール濃度の基準は各州によって決められるものですが、全米レストラン協会及び関連団体は飲酒運転による交通事故は、多量の飲酒や中毒症状を持つ人が引き起こもので一般生活者が食事で楽しむ飲酒によるものではないと反発しています。 現在は50州で採用されている血中濃度0.08%ですが、これも全米化するまで約20年は掛かっていますからよっぽどのことがない限り変化することはないと思います。
foodrestcom@gmail.com