マクドナルド、縮めたい顧客との距離

日本マクドナルドが商品の安全性とクオリティを強調するTVCMを10月から流し始めたのは、当然、上海加工工場でのお粗末な食材取扱い報道で商品と企業イメージを大きく損ねたからですが、社長の記者会見を見てそのコメントに良い印象を受けた人は少なかったのではないでしょうか。 また、販売を中止しているチキンナゲットの代替商品の如く販売された「豆腐しんじょナゲット」は、元々販売を予定していた商品だと言われています。 つまり、チキンナゲットがメニューにあることを前提により健康的な内容で作られた健康的なイメージを持つ商品です。 それがチキンナゲットの代わりに販売されたナゲットとして期待され、食してその期待が失望へと変わりる可能性が大いにあると見るべきです。 当然、その販売は延期すべきだったと考えます。 マイナスイメージの事象が起こった時、事後の経営者の発言や経営判断が企業イメージを落としてしう場合が多々あります。 過去最大と言われた8月の既存店売上の落ち込みの要因になったかもしれません。
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上海加工工場の報道は、業績が落ち込むマクドナルドUSAにも大きく影響しました。 10月の業績もマイナスになるようですが、既存店売上が前年同月比で7月3.2%減、8月2.8%減、9月4.1%減と低迷しています。 特に9月は2003年2月以来の落ち込みです。
8月にマクドナルドUSA社長で41年勤務したベテランのジェフ・ストラットン氏がリタイヤし、マクドナルドは先に退いていた元USA中部担当社長でローガンズロードハウスCEOだったマイク・アンドレス氏をUSA社の社長に迎えています。 アンドレス氏は、業績を回復するためには今まで以上に顧客との接点を持つ必要性があるという理念の持ち主で、10月半ばには退職組の元USA東部地区担当社長だったカレン・キング氏をUSA社の顧客担当トップのチーフピープルオフィサーに迎えています。 そして、より顧客の声を聴くために社内組織の改革をマクドナルド社CEOのダン・トンプソン氏に提言し、マクドナルドUSA社の社内組織はよりシンプルなものに改革されるようです。 ファストカジュアルレストランが台頭し消費者ニーズが変化した今、いかに踏ん張り業績を上げていくかが見ものです。  
マクドナルドでは、ソーシャルメディアを通して顧客からの問い合わせに直接答える形で「Our food. Your Questions」と名付けたキャンペーンを10月から開始しています。 それに加え、企業の実態を暴くTV番組で有名なレポーターをマクドナルドの食品工場に招聘し、いかに商品が安心安全に作られているか動画で確認できるようにしています。 日本のTVCMもこのキャンペーンに連動した形で行われているのです。FoodRest.com