QSR企業のファストカジュアルへの試み(3)

QSR企業がファストカジュアルレストラン(FCR)スタイルで商品を提供しようという試みが増えてきました。
昨年7月にKFCが「KFCイレブン」を本社のあるルイビル(ケンタッキー州)で実験営業をしていますし、マクドナルドは、昨年11月からシカゴ郊外と南カリフォルニアで顧客が20種類のトッピングとソースの組合わせで自分好みのバーガーを作るBuild-Your-Own Burger (BYOB)を実験的に提供しています。 
ファストカジュアルコンセプトが隆盛するピザ業界では、既存の宅配ピザやQSRイタリアンコンセプトの企業もファストカジュアルスタイルのコンセプトを試みています。 昨年10月にスバロがを『ピザ・クチノヴァ』をコロンバス(オハイオ州)にオープンし、ファゾリズが『ピザ・ヴェンティトレ』の出店を今年3月にバルティモア(メリーランド州)にすると発表しています。 ピザハットは、今までに行ったことがないピザをスライスで販売する(デルコプラス)コンセプトの店舗をロードアイランド州とネブラスカ州に出店し、顧客のニーズに応えようという試みが始まっています。 ドミノスピザは、一昨年末からイートインができるファストカジュアルスタイルのコンセプト『ピザシアター』へ、今、リモデル店を増やしつつあります。 
2012年に吉野家アメリカが試みたファストカジュアルコンセプトの『アシアナグリルYoshinoya』は、昨年の内に2店舗とも閉店しその試みを終えました。 20年ほど前にYoshinoyaブランドを浸透させようと南カリフォルニアでTVコマーシャルを打ち、Yoshinoya=ビーフボールのYoshinoyaブランドを新店舗にも用いたことが、顧客が持つブランドイメージと価格を含めた提供商品とのズレが生じ顧客を混乱させたのだろうと思います。 南カリフォルニアでは、それだけYoshinoyaブランドは強いということが分かります。 
恐らく、同じことがKFCの『KFCイレブン』でも起こるのだろうと見ています。
QSRとFCRでは顧客の持つイメージが違います。 QSR企業が、FCRコンセプトを創造する時点で従事する全ての人の意識を変えていないと実現は難しいでしょう。