マクドナルドのCEO

3月21日、マクドナルドのCEOであるジム・スキナー氏(67才)が6月30日で引退をすることを発表しました。 後任のCEOには、現在のCOOであるダン・トンプソン氏(48才)が就くことになります。 
10年前、ジム・スキナー氏は海外担当社長を経てマクドナルドの社長兼COOに就任し、ヨーロッパ担当社長としてチャーリー・ビル氏(当時42才)が就任していました。 ダン・トンプソン氏は、38才で既に米国西部地区担当社長に昇格していました。 
2002年、マクドナルド社の業績は最悪で導入した「メイドフォーユー」システムの評価は低く、当時のCEOジャック・グリーンバーグ氏は何とか業績を回復させようとしますがうまく行かず最悪の状態でした。 第四半期には創業以来初めての赤字を計上し、グリーンバーグ氏は2002年末で引責辞任することになりました。 
マクドナルドは、後任に長くヨーロッパマクドナルドの最高責任者を務め、この年に引退をしていたジム・キャンタルーポ氏(当時59才)を呼び戻し会長兼CEOに就任させることを決め、社長兼COOにチャーリー・ビル氏、副会長にジム・スキナー氏を充て海外市場担当経験が長い3人で体制を整えました。 そのキャンタルーポ氏が大きくマクドナルドを変えたのです。 次の時代のマクドナルドを作り上げる指針「Plan to Win」を打ち出し、次々と改革を進め業績を回復していったのです。
2003年、当時副会長のジム・スキナー氏は日本マクドナルドの新体制に携わっていました。 ですから、日本マクドナルドのここまでの成功は「Plan to Win」に大きく沿って運営されてきたと言えます。 「Plan to Win」は何も難しいことではなく、いかに消費者の立場に立って物事を考えるかということなんだと思います。 それを企業内で実現できる体制を作り上げることができるかどうかがキーです。 2002年までのマクドナルドは、企業が自ずと決めてしまった枠組みの中で物事が進められていました。 消費者のニーズを測ることなく一方的なビジネスを繰り返してきたたため消費者のニーズに対応できず低迷していたわけです。 実は、日本の外食企業にも見られる傾向です。
2004年はマクドナルドにとって激動の年でした。 4月にキャンタルーポ氏が心臓麻痺で急死し、チャーリー・ビル氏もCEOに就任するものの悪性の癌が発覚し11月に引退するという事態に陥り、副会長であったジム・スキナー氏がCEOに就任したのです。 以来7年半、ジム・スキナー氏は「Plan to Win」プログラムを堅持し着実に遂行してきたわけです。 結果、マクドナルドの収益は2004年に比べて2倍以上に増加するまでに至ったのです。  
ダン・トンプソン氏はというと、2004年にはマクドナルドのレストランシステムグループ社の上級副社長のポジションに就き、2005年にはマクドナルドUSAのCOO、2006年からマクドナルドUSAのCEOに就き、2009年からはマクドナルド社のCOOに就くという出世ぶりです。 彼もジム・スキナー氏の下で「Plan to Win」を学び、マックカフェのプレミアムコーヒーを導入、オートミール、スムージーなどヒット商品を生んで来ています。 ダン・トンプソン氏は今年7月からマクドナルド社のCEOになりますが、当然のごとく「Plan to Win」の路線を継承していくと表明しています。 マクドナルドの経営は今後も安定した路線を歩むだろうと見られています。
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