ファストカジュアルとフレックスカジュアル、フォーマット

ファストフードやテーブルサービスレストランチェーン、そして、ディナーレストランまでもがファストカジュアルのフォーマットを使った実験店を出店し、ファストカジュアル大流行のアメリカレストラン業界です。 まさに成功のフォーマットの如く捉えられていますが、その表現はまちまちです。 
ビジネスの成功は顧客ニーズに合った商品とサービスを提供することであって、フォーマットの選択はそれらをどのように提供するかで異なってくるわけですから、フォーマットありきの出店は失敗を招いています。 例として、デニーズがカリフォルニア州オレンジ市に出店をした「デニーズカフェ」が挙げられます。 「デニーズカフェ」は2010年11月にオープンしましたが、今年5月には既に閉店をしていました。 出店立地も問題があると思いましたが、入店からオーダーまでに至る店舗レイアウトとガラス張りの店舗デザインは、既存のデニーズではなくファストカジュアルフォーマットであることの魅力を顧客に示せなかったのだろうと思います。 顧客の持つコーヒーショップ、デニーズのブランドイメージを変えきれなかったわけです。 出店4か月後に店長と話をしましたが、マクドナルドでリージョナルマネージャの経験があった彼も私と同意見でした。 その時点での改善点をいくつか話してくれていましたが、残念ながら、その全てを実現することなく閉店したようです。 
Denny's Cafe
それとは別に、少し気になっているのが、この5月末に同じく南カリフォルニアのフラートン市にファストカジュアルフォーマットで出店をした吉野家USAの「アシアナグリルYoshinoya」です。 企業は、牛丼も和食の一つという考えの下、ここ数年、スシ、餃子、焼肉とサイドメニューを広げ、その結果を見てのアシアナグリルの出店です。 Yoshinoyaはアメリカに35年以上も存在し、既にビーフボールのYoshinoyaとして南カリフォルニアでもそのブランドは認知されています。 しかし、そのブランドを掲げてのファストカジュアル店舗の出店は、デニーズカフェと同様、顧客を混乱させるだけだと考えます。 少なくとも、企業はYoshinoyaというブランド名を取り除いて実験の成果を見るべきです。、そして、商品クオリティをより深く追求することで、長年築き上げてきたYoshinoyaというブランドを大切に育ててもらいたいと思います。
アメリカは、日本と違い、地域によってマーケットが明確に区分されていますので、地域を理解すれば比較的ターゲット層を定めやすいところです。 それだけに出店立地と築き上げられたブランドイメージが十分マッチするかを検討すべきなのです。 アメリカレストラン業界では、顧客に対して何がベストなのか(どのようにすればビジネスが成功するのか)を常に考え、いろいろなサービスフォーマットが生まれてきています。 今、「フレックスカジュアル」と呼ばれるフォーマットを採用するところが徐々に増えています。 これは、ランチ時にはファストカジュアルフォーマットでスピーディに商品提供をし、ディナー時にはゆっくりとテーブルサービスで食事をしてもらおうというフォーマットです。 採用チェーンが増えれば、フレックスカジュアルが顧客に認知され常用化される呼称となるでしょう。

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