ファストフード企業の動き

調査会社NPDグループのデータを見ますとここ数年ファストカジュアルレストラン(FCR)がどれだけ人気なのがよく分かると思います。
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ファストカジュアルの業態に集客力があるので、レストラン業界への新規に参入する企業の多くはファストカジュアル業態でコンセプトを考え参入を試みてきます。 一方、既存業態でビジネスを進めている企業としては、マーケットが拡大するファストカジュアル業態により近い形で商品やサービスを考えるか、新コンセプトで参入するという手段でビジネスの向上を図ろうと努力をしています。
ここでは、ファストフード企業の動きをいくつか挙げてみます。
タコベル(本社:アーバイン、カリフォルニア州)が、チポトレ風にブリトーやサラダを来店客の注文によって作り上げる「カンティーナ・ベル」コンセプトが好調です。 タコベルは今年3月にタコスシェルにコーンスナックのドリトスを使ったタコス「ドリトス・ロコス・タコス」を発売してそれも好調で業績を上げています。 2013年には店舗デザインを一新する計画も出ています。 
ウェンディーズ(本社:ダブリン、オハイオ州)も2011年末にウェンディーズ・アービーズグループ社からアービーズをスピンオフした後、オハイオ州に本社を戻して新しいプロトタイプ店舗を打ち出しました。 プロトタイプには、ソファに暖炉そしてTVを設置した内装でファストカジュアルに近付こうという意欲が見え見えの店舗です。 しかし、今年10月に入って発表された新しい店舗ロゴは、何故か大衆を狙うデザインでした。 しかも創業以来掲げてきたスローガン、”Quality is our Recipe” と “Old Fashioned Hamburgers”は、新しいロゴにはありません。 7500万ドルというコストがかかるプロトタイプへのリモデルにはFCジーからの反発もあり、リモデル化はそれほど進んでいません。 結局、ウェンディーズはコストを抑えたプロトタイプ店舗を作る始末。 どうも本部の方向性が一定していないようです。
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ウェンディーズから分かれたアービーズグループ(アトランタ、ジョージア州)は、「消費者が最も求めているサンドイッチとは、店舗でデリミートがスライスされるフレッシュなサンドイッチだ。」と新たなTVコマーシャルを打ち出しました。 ZAGATでNo.1サンドイッチショップと評価されたサブウェイのミート工場をバックに比較広告にチャレンジしています。スライシングアップ フレッシュネスとして、フレッシュさを強調しています。
吉野家アメリカ(本社:トーランス、カリフォルニア州)では、新コンセプト店舗「アシアナグリル・Yoshinoya」を今年5月に既存店舗を改築してスタートさせました。 ファストカジュアルコンセプトとしてオープンしたこの店舗の内装は、デザインが素晴らしく新たな吉野家として企業が考案したコンセプトです。 残念ながら、既存店を改築して「Yoshinoya」の名前を残し、牛丼を前面に打ち出さずに少し高めの商品価格設定でスタートしたためか、顧客が従来店舗と比較して混乱をきたしているようです。
Yoshinoya-asiana
ファストカジュアルの人気に感化されて、既存ファストフード企業も商品クオリティーレベルを上げてきていますから、経済が低迷する現在、消費者のファストフードを見る目も変わってくるのではないでしょうか。

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foodrescom@gmail.com